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『ハリウッドランド』


スターチャンネルプラスで。 1960年代、テレビでスーパーマンを演じ、全米の人気者になった俳優 ジョージ・リーブスはなぜ頭を撃ち抜いて死んだのか。 他殺説を訴えるリーブスの母親からの依頼で、事件の真相を追う孤独な 野良犬探偵(エイドリアン・ブロディ)。しかしそんな彼の前に、 ハリウッドランドの黒い権力が立ちふさがる。 フォーマットとしてはハードボイルド・ミステリだが、この映画の 主題はどちらかというとシリアスで複雑なヒューマンドラマ。 家族とも恋人ともうまくいかないダメ男探偵の生活と、「スーパー マン俳優」から脱却できずにいたリーブス(ベン・アフレック)の 生前の苦悩ぶりが交互にじっくりと描かれる。 物語はもっぱらリーブスの伝記的叙述が主になり、ミステリとして 解決されるべき彼の死因は、結局曖昧なままだ。妻を寝取られた スタジオの大物(ボブ・ホスキンス)が仕組んだ計画殺人なのか、 恋人による突発的な事故だったのか、それとも本当に自殺だったのか。 結論はアナタにお任せします、というエンディング。 ミステリファンには甚だ納得いかない幕切れだが、"スーパーマン" ジョージ・リーブスの伝記映画としてみればコミックファン的には 楽しめる作り。 今でこそ、日本でもヒーロー番組の主役は大手のイケメン俳優の 登竜門みたいになっているけれど、テレビ草創期の60年代アメリカ で、一流の映画俳優を目指していたリーブスが、スーパーマンで あることをどれほどストレスに感じ、世間のイメージが固まって しまったことにどれほど絶望していたかが、リアルに描かれている。 アフレックはマーヴェルの方では盲目の超人デアデヴィルを演じた けれど、こちらでは「スーパーマンになりたくなかった男」を好演。 ちゃんとあのブルーのタイツと赤いケープをまとうシーンもあって、 おまえスーパーヒーロー好き過ぎw リーブスの年上の不倫相手であり、売れない役者だった彼に、 妄執にも近い愛を注いだ女をダイアン・レインが熱演。かつての アイドル女優が、思い切った老け役で女の哀しいサガを見せつける。 夫役のホスキンスの不気味な迫力も絶品。

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