2017年06月21日
『ローガン』見てきたった
ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じる最後の映画となります
『ローガン』、そろそろ上映終了なので見てきました。
いや素晴らしい映画でした。
【以下ネタバレ】
『ローガン』、そろそろ上映終了なので見てきました。
いや素晴らしい映画でした。
【以下ネタバレ】
政府の策謀によってミュータントが絶滅した近未来。
ウルヴァリンことローガンは戦士であることをやめ、しがない
リムジン運転手をやって日銭を稼いでいる。長年に渡る体内の
アダマンチウム合金の作用で骨肉を蝕まれ、200年以上に及び
不老不死を誇ってきた肉体も明白に衰えつつある。髪も髭も
白いものが目立ち、ゴホゴホと景気の悪い咳をしながら足を
引きずり歩く姿はもはや老人だ。超治癒能力もかつてほどの
目覚ましさはもうない。
彼が面倒を見ているプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアは
すでに90代。アルツハイマーに侵され、クスリがないとテレパシーの
暴走発作を起こしてしまう。今や彼とローガン、そしてもう一人の
仲間のキャリバンが世界で最後のミュータントだ。
そんなある日、ローガンは見知らぬ女性から、ある子供を
運んでほしいと依頼を受ける。一言も口を利かない無表情な
その子供ローラは、ある企業が放った殺し屋部隊に追われている。
殺し屋部隊は人数も装備も潤沢、サイボーグまでいるプロだ。
しぶしぶながら成り行きでローラを運ぶことになるローガンだが、
老いた体ではもはや多勢を相手に戦うことは難しい。
しかしローラは、ウルヴァリンと同じ「ウエポンX」だった。
幼い肉体にアダマンチウムの爪を備え、超人的な怪力と
運動能力を持ち、容赦なく人間をズタズタにできる残酷さを
秘めた人間兵器。ローラはとある企業が兵器として人工的に
作った実験体ミュータントの一人だったのだ。そして彼女を
追う殺し屋部隊は、その企業が放った刺客だった。
かくしてローガン、チャールズ、ローラの奇妙な旅が始まる。
老いてますます気難しく無愛想になったローガンだが、
チャールズは次第にかつての知的な紳士ぶりを取り戻し、
そんなチャールズにローラの凍った心も次第に打ち解けてくる。
一方ローガンは、ローラが遺伝子的には自分の娘だと
聞かされても困惑し、苦々しい顔をするばかりだ。
愛するひとは必ず悲惨な死を遂げる運命に心が乾ききって
しまったローガン、自身のテレパシー発作で多数の同胞を
殺してしまったという底知れぬ罪悪感を抱いているチャールズ、
兵器として作られ愛も家族も知らない少女ローラ。
それぞれの傷を抱えた三人の旅は、美しい映像とあいまって
心にしみる良質なロードムービーとなっている。
もちろんイイのは人間ドラマばかりではない。
R-15指定なのでアクションシーンもド迫力。なにがイイって
血がドバドバ、首切りズバーッ! これまでの『X-MEN』は
ファミリー映画だからウルヴァリンがどんなにツメを
突き刺しても血は一滴も出なかったけれど、本作では
顔面突き刺すわ頭蓋骨貫通するわ血糊もビシャー。
うおー、こんなウルヴァリンが見たかった!と爽快感抜群。
特に序盤のメキシコシーンはキャラクターも風景もカサカサに
乾燥した中ほとばしる血潮は70年代のサム・ペキンパー映画
みたいでまたシブいのだ。
ロリヴァリン……もといローラのアクションも同様に強烈。
ファーストバトルシーン、自分で切り落とした殺し屋の生首を
かかえて隠れ家からゆっくりと現れるキラー幼女のカッコ
よさったらない! クライマックスの、クローン・ウルヴァリンへ
絶叫とともにツメを突き立てまくるところもしびれる。ローガン
秘蔵のアダマンチウム弾で敵にトドメを刺すのもこの幼女
なんだもの。もうたまりません。
殺伐としたこの世界にたったひとつ理性の光を灯すのは
往年の名作西部劇映画『シェーン』だ。シェーンの台詞
「人を殺したものは一生その烙印を負う。たとえそれが
正しい行為だったとしても」 ローラと、その仲間の子どもたちを
守り抜いたローガンは、その言葉をローラに残す。
「もう戦わなくていいんだ。奴らの思い通りに生きるな」
今際のきわにローガンがローラに贈った言葉は、自分自身への
鎮魂の句だったのもかもしれない。
ちなみにこの作品世界は、これまでの『X-MEN』世界とは
パラレルワールドになるようで、なにかしらのミュータント
組織はあったようだが、ヒーローチームX-MENはコミックの
中だけの架空の存在という設定になっている。これがまた
シナリオに効いていて、ラストシーン、ローラがローガンの
墓標である十字架をそっと横に倒して「X」の形にしてから
去っていく幕切れは思わずウルッときたことだなあ。
90年代以降、アメコミ映画の力作は数多く作られてきた
けれども、人生の黄昏を迎えた男たちをじっくりと描いた
本作は、通常のスーパーヒーロー映画とは一線を画す
傑作ハードボイルド・ロードムービーとなっている。
ウルヴァリンことローガンは戦士であることをやめ、しがない
リムジン運転手をやって日銭を稼いでいる。長年に渡る体内の
アダマンチウム合金の作用で骨肉を蝕まれ、200年以上に及び
不老不死を誇ってきた肉体も明白に衰えつつある。髪も髭も
白いものが目立ち、ゴホゴホと景気の悪い咳をしながら足を
引きずり歩く姿はもはや老人だ。超治癒能力もかつてほどの
目覚ましさはもうない。
彼が面倒を見ているプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアは
すでに90代。アルツハイマーに侵され、クスリがないとテレパシーの
暴走発作を起こしてしまう。今や彼とローガン、そしてもう一人の
仲間のキャリバンが世界で最後のミュータントだ。
そんなある日、ローガンは見知らぬ女性から、ある子供を
運んでほしいと依頼を受ける。一言も口を利かない無表情な
その子供ローラは、ある企業が放った殺し屋部隊に追われている。
殺し屋部隊は人数も装備も潤沢、サイボーグまでいるプロだ。
しぶしぶながら成り行きでローラを運ぶことになるローガンだが、
老いた体ではもはや多勢を相手に戦うことは難しい。
しかしローラは、ウルヴァリンと同じ「ウエポンX」だった。
幼い肉体にアダマンチウムの爪を備え、超人的な怪力と
運動能力を持ち、容赦なく人間をズタズタにできる残酷さを
秘めた人間兵器。ローラはとある企業が兵器として人工的に
作った実験体ミュータントの一人だったのだ。そして彼女を
追う殺し屋部隊は、その企業が放った刺客だった。
かくしてローガン、チャールズ、ローラの奇妙な旅が始まる。
老いてますます気難しく無愛想になったローガンだが、
チャールズは次第にかつての知的な紳士ぶりを取り戻し、
そんなチャールズにローラの凍った心も次第に打ち解けてくる。
一方ローガンは、ローラが遺伝子的には自分の娘だと
聞かされても困惑し、苦々しい顔をするばかりだ。
愛するひとは必ず悲惨な死を遂げる運命に心が乾ききって
しまったローガン、自身のテレパシー発作で多数の同胞を
殺してしまったという底知れぬ罪悪感を抱いているチャールズ、
兵器として作られ愛も家族も知らない少女ローラ。
それぞれの傷を抱えた三人の旅は、美しい映像とあいまって
心にしみる良質なロードムービーとなっている。
もちろんイイのは人間ドラマばかりではない。
R-15指定なのでアクションシーンもド迫力。なにがイイって
血がドバドバ、首切りズバーッ! これまでの『X-MEN』は
ファミリー映画だからウルヴァリンがどんなにツメを
突き刺しても血は一滴も出なかったけれど、本作では
顔面突き刺すわ頭蓋骨貫通するわ血糊もビシャー。
うおー、こんなウルヴァリンが見たかった!と爽快感抜群。
特に序盤のメキシコシーンはキャラクターも風景もカサカサに
乾燥した中ほとばしる血潮は70年代のサム・ペキンパー映画
みたいでまたシブいのだ。
ロリヴァリン……もといローラのアクションも同様に強烈。
ファーストバトルシーン、自分で切り落とした殺し屋の生首を
かかえて隠れ家からゆっくりと現れるキラー幼女のカッコ
よさったらない! クライマックスの、クローン・ウルヴァリンへ
絶叫とともにツメを突き立てまくるところもしびれる。ローガン
秘蔵のアダマンチウム弾で敵にトドメを刺すのもこの幼女
なんだもの。もうたまりません。
殺伐としたこの世界にたったひとつ理性の光を灯すのは
往年の名作西部劇映画『シェーン』だ。シェーンの台詞
「人を殺したものは一生その烙印を負う。たとえそれが
正しい行為だったとしても」 ローラと、その仲間の子どもたちを
守り抜いたローガンは、その言葉をローラに残す。
「もう戦わなくていいんだ。奴らの思い通りに生きるな」
今際のきわにローガンがローラに贈った言葉は、自分自身への
鎮魂の句だったのもかもしれない。
ちなみにこの作品世界は、これまでの『X-MEN』世界とは
パラレルワールドになるようで、なにかしらのミュータント
組織はあったようだが、ヒーローチームX-MENはコミックの
中だけの架空の存在という設定になっている。これがまた
シナリオに効いていて、ラストシーン、ローラがローガンの
墓標である十字架をそっと横に倒して「X」の形にしてから
去っていく幕切れは思わずウルッときたことだなあ。
90年代以降、アメコミ映画の力作は数多く作られてきた
けれども、人生の黄昏を迎えた男たちをじっくりと描いた
本作は、通常のスーパーヒーロー映画とは一線を画す
傑作ハードボイルド・ロードムービーとなっている。